【山田委員】東大法科大学院に入ったとしてもなれない人というのが、三振者というのが1割 ぐらい出ている。

法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会(第3回)
平成22年8月10日(火)14:00〜16:00
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/houkadaigakuin/33284.html
http://www.soumu.go.jp/main_content/000102064.pdf

【山田委員】 では、意見を3点ばかり述べさせていただきます。 -14-
私は何度も同じことを言っているんですけれども、まず、現状としては、いわゆる新司法試
験というのが結果的に高学歴ワーキングプア、ワーキングではないですね、高学歴行き場のな
い人の発生装置になりかけているということが言えると思います。私は中央公論の先々月号ぐ
らいで、いわゆる学校の費用対効果という文章を書きまして、法科大学院がいわゆる投機にな
り始めている。法科大学院に行くことは、実際もう投資ではなくて、投機的レベルになってい
るのではないかと書いたんですけれども、これはまず、いわゆる投入するお金や時間や勉強量
などが非常に大きい。それで、かつ、入ったら、8割、9割がなれるんだったら安心しますけ
れども、結果的に、予定でも半分、現状では3分の2ぐらいは法曹資格を取れないリスクを抱
えている。さらに、ここが重要ですけれども、なれなかったときの損失の大きさというか格差
です、なった人となれない人の格差があまりにも大き過ぎるので、とてもじゃないけれども、
お金を預けるというアナロジーを使えば、非常に投機的な債券に投資するようなものになって
いるのではないかというふうに思っています。結局、そういう情報がもう既に若い人、若い人
というか、法曹資格を目指す人の間で共有され始めているんです。そこが重要だと思いまして。
そうなると、どうなるかというと、法律家になりたくても、優秀で法曹資格を取りたくても、
そちらに行かないという人が実は増えてきていまして、私の知り合いでもこんな危ないところ
には行けないというので、裁判所書記官とか事務官を受けることにしたとか、国家公務員試験
に切りかえるという人が結構周りにいます。つまり、ちょっと偏差値を言うのも何ですが、前
回の資料で、東大法科大学院に入ったとしてもなれない人というのが、三振者というのが1割
ぐらい出ている。つまり、一番優秀だと言われる法科大学院に入ってもなれなくて、放り出さ
れる確率が1割あるというところに、結局びびるというか、恐れをなす、リスクを嫌う人は行
かないということが1つ。
あとやはり、お金がかかり過ぎるので、結局お金の見通しがない人はそちらには行かなくな
るというのは当然のことだと思います。今までは貧しくても、国立大学で法学部を出れば、そ
のまま受けて司法修習に受かってというお金のかからないルートがあったわけですけれども、
今は奨学金を受けても受からなかったら、借金を背負ってしまうわけですので、お金に関する
すごいリスクを背負ってしまうことになるというのが2点。
あと、第3点は、まさにお金の問題ですけれども、受かって司法修習が有料化に、いわゆる
給費制の廃止というふうな形になっていますが、私は若者論をやっていて、どうして若者につ
らい制度をどんどんつくるんだろうというのは私のいつもの論調なんです。ちなみに大学院の
博士課程の、同じような高学歴ワーキングプアの発生装置になっていると思いますけれども、

これも同じような問題が起こっていまして、ちなみに私のことをちょっと述べさせていただき
ますと、私は文部科学省の子でありまして、国立大学をずっと来て、奨学金を受け、かつ奨学
金は全部返還免除になり、文部科学省のお金で留学させていただいた人なんですけれども、だ
からこそ、逆に公的なものにお返ししなければいけないという意識が生まれてくるんだと私は
思っています。逆に今は、奨学金は返さなくてはいけないし、若手の留学制度もなくなってし
まったという、若者にますます厳しい状況になっています。ここでも同じで、受益者負担だっ
たら、今までただで司法修習を受けて受かった人からお金をとれと私は言いたい。今も裁判官
や弁護士の人からお金をとって、むしろ若い人に回すべきだというふうに言いたいと思います。
つまり、受益者負担の原則といっても、やはり公的な活動にかかわる人ですから、逆に国から
お金を受けているということが、むしろ公的な意識の養成になるのではないでしょうか。つま
り、司法修習でお金をとることになった場合は、自分で勝手に金儲けをしても、自分でやった
んだから、倫理的によくないことをしても別に知らんよというふうな法曹生をむしろ心理的
つくり出してしまう可能性は逆にあると思うので、その点について懸念しております。
以上、3点でございました

(コメント)
それは確かにビビる。
※参照
http://lswatch.blog32.fc2.com/blog-entry-4.html
東京大学法科大学院では、5年後10年後に法曹になってからの、広がりを持つことが出来るような教育をする。今学習している内容は分からないかもしれない。しかし法曹になった後、ノートを紐解けばきっと分かる時がくる。その時、教師が言っていたことを思い出し、道を踏み外しそうな時は留まり、金儲けに走っている友人がいればいさめる。そうして東京大学法科大学院の卒業生が一つの理念を共有し、法曹界の中で一定の人数と割合を持って貢献していくことを目指している。高い志を持つように。

 だから東京大学法科大学院では決して受験勉強はしない。慶應とは違う。(盛大な拍手)

 しかし、東京大学法科大学院を卒業した方であれば、5年に3回の試験で必ず合格する。但し1年目に受かるかどうかは保証しない。新司法の問題が悪い。自分の担当する民訴に関しても酷いものだ。問題が悪いのだから、皆さんは試験官を採点するつもりで受験してほしい。